Sonoda Accounting Office
サービス
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法人化を通じて節税はもちろん、財務体質の強化、事業継承の円滑化を支援します。 法人化による節税だけでなく、財務体質の強化や事業承継の円滑化まで視野に入れたご支援を行います。
クリニックの規模が大きくなるにつれ、累進税率の影響で院長先生の所得税等の負担は増加し、個人事業から法人化を検討されるケースは少なくありません。
しかし、法人化は単なる節税手段として捉えるべきではないと、私たちは考えます。地域歯科医療の担い手として、医院が利用者の一生の健康に寄り添い、さらには次世代へと受け継がれていく存在であるためには、経営の継続性が重要です。その点で、法人組織は個人事業よりも、組織運営・資金繰り・金融機関との関係・事業承継・人材採用など、さまざまな面で優れた体制を構築しやすいといえます。
もちろん、法人化には事前に理解しておくべき注意点もいくつかあります(それらは一概に「デメリット」とは言い切れないものも含まれます)。
園田会計事務所では、歯科医院が永続的に地域に根ざした医療を提供できるよう、法人化の検討から設立、運営に至るまで丁寧にサポートいたします。
手残り資金が増える(節税効果)
個人クリニックの場合、所得(≒利益)に対して最大で45%の所得税が課され、さらに住民税10%が加わることで、合計で最大55%の税負担となります(加えて、自費診療が一定以上ある場合には事業税も発生します)。
我が国の所得税は超過累進課税制度を採用しており、所得が増えるほど税率が高くなるため、高所得帯では実に半分以上が税金で失われ、手元に残るのは約半分という厳しい構造です。※法人税率は国際競争力強化の名のもとに引き下げられてきた一方、その「しわ寄せ」として、所得税の負担感が高まっている面もあります。
法人化することで、所得を院長(理事長)と法人に分散させることが可能になり、また、家族従業員への給与支給も(個人事業よりも)行いやすくなります。これらの効果を組み合わせることで、法人全体および院長個人の手残り資金を増やし、結果として質の高い医療提供の原資を確保することができます。
従業員採用力が向上する
一般的に、法人化されたクリニックは採用面で有利だとされています。たとえば、求職者の視点から見ると、「○○歯科クリニック」よりも「医療法人社団○○会 △△歯科クリニック」の方が、実態が同じであっても、より組織的で安定した印象を与える傾向があります。採用活動においては、「見え方(ブランディング)」も非常に重要な要素です。
また、法人化することで将来的な分院展開が可能となり、それに伴いスタッフの配置転換や人事運用の柔軟性も高まります。こうした体制の整備は、採用後の職場環境の改善やスタッフの定着率向上にもつながります。
もちろん、増床や分院展開がすべてではありませんが、採用難が深刻化する今、「人員の欠員 → 現場の混乱」という悪循環を防ぐためにも、ある程度の余剰人員を確保できるスケーラブルな組織づくりは、今後の医院経営において重要な検討課題であるといえるでしょう。
資金調達に強くなる
医療法人は、都道府県の認可を受けて設立される公的性格の強い法人です。そのため、個人事業よりも社会的信用力が高いと評価され、金融機関からの融資が受けやすくなります。
これにより、最新の医療機器への投資、施設のリニューアル、分院展開や増床計画など、必要なときに必要な資金を確保しやすくなり、結果として医療サービスの質の向上にもつながります。
事業継承がスムーズに進む
個人クリニックでは、開設者が院長個人であるため、親から子への承継に際しては「開設者の変更」など煩雑な手続きが必要になります。
一方、医療法人にしておけば、開設者は医療法人そのものになるため、たとえ理事長が交代しても、開設者の変更手続きは不要です。必要なのは、理事長の変更届などの軽微な手続きだけで済みます。
さらに、現在新設可能な医療法人は「出資持分なし」の形態であるため、医療法人が保有する財産(正確には純資産)に対して、相続税が課されることはありません。これにより、法人の財産をそのまま残しながら、次世代へのスムーズな事業承継が実現できます。結果として、内部留保を厚く保ちながら、地域医療の継続的な担い手として医院の永続性を高めることができます。
資金移動の厳格化と諸手続きの煩雑化
個人クリニックと異なり、法人化すると「家計と事業の厳密な分離」が求められます。たとえば、法人の銀行口座から院長(理事長)個人が私的に資金を引き出すことは、原則として認められません。あくまで法人と個人は別の存在であり、その関係性を適切に管理する必要があります。
また、法人の税務申告は個人の確定申告よりも内容が複雑で、基本的に専門家(税理士)の関与が不可欠となります。さらに、医療法人は都道府県への決算報告義務があり、その報告内容は原則として一般に公開されます(閲覧可能)。
このように、法的・行政的な手続きの量や複雑さは、法人化に伴って増加する点は理解しておく必要があります。
一部補助金が対象外となる
医療法人になると、たとえば「ものづくり補助金」など、個人クリニックであれば申請可能な補助金制度の一部が利用できなくなります。
そのため、設備投資や新規事業に際して補助金活用を検討している場合は、法人化のタイミングや制度の対象要件を事前に確認する必要があります。
小規模企業共済の加入資格喪失
多くの個人クリニック院長が老後資金の準備と節税対策を目的に加入している「小規模企業共済」ですが、法人化後は原則として加入・継続ができなくなります。
法人化には明確なメリットがある一方で、制度上の制限や実務負担の増加など、知っておくべき注意点も存在します。大切なのは、「目先の節税」だけではなく、医院の将来像に照らして、総合的に判断することです。
ご質問やご相談がある方は、こちらからお問い合わせください。私たちが迅速にサポートいたします。